貴方の見ているドメインは

ドメイン www.huayu-home.com

このページについて

    徳次は気が抜けたやうに、口のあたりをもごもごさせるきりだつた。

    「徳さん、君は草履ばきぢやないか」

    「なに、ろくでもない用事で帰つたもんですから、どこへも失礼していたんです」

    「別に何日からでもないんです。今日からでも――」

    そんな風におぼえていてくれるとは思ひがけなかつた。

    「ふん」

    「やっぱりチブスで?」

    「いや、そこまで確かなことにはしませんでしたが」

    と気のない返事をした。

    正文は顎をつき出しては一寸笑つて、ふむ、ふむ、とひとりでうなづいていた。

    と、房一を誘つていた。

    「いや、そのうち。――ぜひ御相談があるんですが。――そのうち、一度来ていたゞいて。いや、私の方から出かけませう。や、又――」

    盛子は妊娠していた。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40